三井オーシャンフジ就航で変わるクルーズ体験!船体、食事と飲み物、サービスの3つの観点でにっぽん丸と比較してみた

三井オーシャンフジ就航で変わるクルーズ体験!船体、食事と飲み物、サービスの3つの観点でにっぽん丸と比較してみた
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にっぽん丸の“和の船旅”を愛してきた旅好きのあなたへ。にっぽん丸は2026年5月に引退が予定されており、また飛鳥3や三井オーシャンフジが新たに就航し、国内クルーズの“顔”が変わろうとしています。2024年12月に登場した三井オーシャンフジは「日本初の全室スイート客船」として、にっぽん丸の役割を受け継ぎながら新しい体験を提示してきます。

この記事では、先日、三井オーシャンフジに初めて乗船してきましたので、その体験と過去にっぽん丸は2回しか乗船をしたことはありませんが、その体験をもとに商船三井クルーズ株式会社を代表するにっぽん丸と新たに登場した三井オーシャンフジを「船体」「食事と飲み物」「サービス」の3観点で比較してみました。皆さんの今後のクルーズ選びの参考になれば幸いです。

三井オーシャンフジのオープンデッキ

船体 — 三井オーシャンフジはより余裕を持って過ごせる設計へ

三井オーシャンフジは総トン数約32,477t、全長約198m、乗客定員458名。にっぽん丸(約22,472t、166m、定員449名)と比べるとトン数が約1万トン増えています。乗客数は大きく変わらないまま船体の容積が増えたことで、居住性や安定性に余裕が生まれているのが実感です。

三井オーシャンフジにっぽん丸
総トン数32,477トン22,472トン
全長198メートル166メートル
客室数229室190室
乗客定員数458名422名
船籍バハマ日本
  • 全室海側スイート&前方客室配置:全室が海側スイートで、約9割にバルコニーを装備。客室を船体の前方寄せ、パブリックエリアを後方寄せにする配置はシニア層や長距離クルーズ志向の方には好相性で、移動の負担が少なく静かに過ごせます。にっぽん丸の“回遊設計”とは違う良さに感じました。
  • 航路設計の違い(外国船籍の影響):三井オーシャンフジは船籍が外国のため、運航上の都合で海外寄港を一度含む場合があり、横浜発などだと日数が長くなりがちです。寄港先が韓国・台湾中心で西日本寄りの航路が多く、北日本へは日数がかかります。にっぽん丸のような国内完結の短日程コースを期待する場合は、コース選定が重要です。
  • デザインの差分:にっぽん丸の特徴でもあった丸窓や和の温かみは三井オーシャンフジには少なく、代わりにガラス張りのバルコニーやシックな内装でモダンにまとめられています。好みは分かれますが、引退後の“次の船”として違和感なく受け入れられる高級感はあります。

にっぽん丸の情緒をそのまま再現するわけではないが、三井オーシャンフジは居住性・安定性・プライベート性で十分な代替性を持っているように思います。

食事と飲み物 — 選べる楽しさが増えた印象

にっぽん丸の和食中心の丁寧なコース料理は長年の信頼があります。一方で三井オーシャンフジは「選べる幅とアクセスのしやすさ」で差をつけてきました。実際に乗ってみると、飲み物とカジュアル領域の楽しみ方がかなり拡張されています。

  • 飲み物の充実度:三井オーシャンフジはバーなどでの有料オーダーを含め、アルコール・ノンアルコールのラインナップが多彩。ノンアルコールワインの種類も充実しており、アルコールを控えたい人にも“飲み比べ”の楽しみが提供されています。にっぽん丸はコースやイベントでの提供の完成度が高かったですが、個人的には日常的に自由に飲み回す楽しさは三井オーシャンフジのほうが上回る印象です。
  • 和食の質は継承されている:重要なのは、和食の丁寧さや素材の扱いはフジにも受け継がれている点です。刺身の盛りや付け合わせの工夫など“和の細工”は健在。感動的なお料理は三井オーシャンフジでも同じでした。
オブザベーションバー 36でのオリジナルカクテル

サービス — 部屋中心のきめ細かさと伝統のホスピタリティ

最後に三井オーシャンフジでのサービスを見ていきましょう。

  • サービスレシオと対応の性格:三井オーシャンフジのサービスレシオ(参考値)は約1.4、にっぽん丸は約2.31とされ、数値だけで優劣を決めるのは難しいものの、三井オーシャンフジは全室スイートを前提に「客室を中心にした個別対応」を実践しやすい構造に思いました。にっぽん丸が場での一体感を作るなら、三井オーシャンフジは部屋でのパーソナル体験に注力する、そんな違いがあります。※【参考】「サービスレシオ」とは、乗客定員を乗組員数で割った、乗組員1人当たりの乗船客数。乗組員1人が何人の乗客を担当するのかという指標で、この値が低く1.0に近いほどサービスレベルが高い。
  • バトラーと上級対応:ペントハウス以上の上位36室にはバトラーサービスが付き、アーリーチェックインや細かな手配が受けられます。にっぽん丸の上級対応も手厚いですが、三井オーシャンフジは全体がスイート設計のため、標準レベルの快適さ自体が高く、上位ではさらに差別化されている印象です。
  • エンタメと文化プログラム:にっぽん丸の民謡、落語、日本文化体験といった“場で味わう和の演出”は引き続き価値があります。三井オーシャンフジは国際的な視点を取り入れつつも、商船三井の和のテイストも提供するハイブリッド型。カジノは両船とも金銭を賭けない参加しやすい形式で、乗客層を広く受け止めます。

にっぽん丸の“場で楽しませる”ホスピタリティは三井オーシャンフジでも継承され、さらに「部屋での個別体験」を強化されたことで、三井オーシャンフジではより高品質の体験が楽しめそうですね!

にっぽん丸と変わらない点(でも“置き換え”は自然に進む)

にっぽん丸の引退が近づく中で重要なのは、良いポイントが失われないこと。結論から言うと、以下の点は三井オーシャンフジでも継承されています。

  • 年齢層や乗客層の雰囲気は大きく変わらない(シニア・ファミリー層中心)。
  • カジノ等のエンタメは家族でも参加しやすい形式で継続。
  • 和食の細かな工夫や見せ方、食材への配慮は商船三井のスピリットとして三井オーシャンフジにも反映。
  • 食事のクオリティ自体は高水準で、食を楽しむ満足度は維持されている。

要は、にっぽん丸が築いてきた「商船三井クルーズのおもてなし」は三井オーシャンフジでも十分に楽しむことができます!

まとめ:にっぽん丸の引退後も安心して“海の時間”を任せられる選択肢

にっぽん丸は長年にわたり日本のクルーズ文化を支えてきましたが、来年5月の引退を機に、その伝統性は三井オーシャンフジという新たな形で受け継がれていきます。三井オーシャンフジは「全室スイート」「飲み物・カフェの多様性」「客室中心のきめ細かいサービス」で、にっぽん丸の良さを補完しつつ、新しい時代の船旅を提示しているように思います。

過去ににっぽん丸での思い出が残る方は、その思い出を大切にしつつ、新しい選択肢として三井オーシャンフジを試してみてください。きっと「引退を惜しむ」気持ちを抱きながらも、新しい船旅の楽しみを見つけられますよ!

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みったまん

コーヒー好きの現役旅行会社員。お家でよくコーヒー焙煎して飲んでいます。でも趣味はお菓子作りかも(You Tube)。発見と体験のある旅行に行くことが一番の贅沢。・クルーズコンサルタント(一般社団法人 日本外航客船協会)・総合旅行業務取扱管理者(一般社団法人 日本旅行業協会)・旅程管理主任者(国内・海外)・コーヒーソムリエ(JSFCK)・日本酒ナビゲーター